2023-04-10 『メグレと口の固い証人たち』を読みおわった ---メグレのいらいらと不機嫌がこちらにまで伝染してくる

食事、コンピューター、インドネシアについてのひとり言。 ときどき人類学なども。

[2023-04-10] 『メグレと口の固い証人たち』を読みおわった —メグレのいらいらと不機嫌がこちらにまで伝染してくる

『メグレと口の固い証人たち』 (シムノン 2013)を読み終わった。

ほとんど破産の瀬戸際にありながら、 二人の裕福な嫁たちからの援助によってなんとか 大ブルジョワとしてのプライドと見た目を保つラショーム家で 家長が殺された。 メグレは老夫婦と弟夫婦(小さな息子がいる)に聞き取りをするが、 彼らは頑なに口を閉ざす。 彼らは弁護士を呼び、 弁護士を通しての聞き取りだけを主張する。 さらに若く生意気な担当判事が捜査を仕切ろうとする。 警察による捜査は、すべて彼の目の前で、 彼の指図によってやれというのだ。 メグレは不機嫌になり、 いらいらと忍耐は限界に達しようとしている。

不愉快な人間ばかりに囲まれたメグレだが、 彼が唯一 好意的な目でみるのは、 数年前に家をでた末娘のヴェロニカだ。

白い部屋着からはみ出してしまっている大きな乳房はそれ自身生命をもち、 気分しだいで身震いしているようだった。 メグレにはそれを淫らというよりも、 陽気で、人のいい乳房と呼びたい気持だった。

捜査は、しかしながら、 このヴェロニカを傷つける形をとることによって、 一気に進展する・・・。