2023-04-11 『メグレと消えた死体』を読み終わった ---不機嫌メグレのめちゃめちゃな捜査;こんな警察にだけはつかまらないようにしなくては・・・

食事、コンピューター、インドネシアについてのひとり言。 ときどき人類学なども。

[2023-04-11] 『メグレと消えた死体』を読み終わった —不機嫌メグレのめちゃめちゃな捜査;こんな警察にだけはつかまらないようにしなくては・・・

『メグレと消えた死体』 (2012) を読み終わった。

メグレのもとに、 かつて彼が尋問をしたことのある女、 のっぽのエルネスティーヌが尋ねてくる。 その女を連行したのは、メグレがまだ若いころだ。 女はベッドの上で真っ裸になり、 メグレについていこうとはしなかった。

「わたしは自分ちにいるんだ。 暑いでしょ、 わたしには真裸になる権利が あるわ。 このままの格好であんたについてこいって言うんなら、 わたしはいっこうにさしつかえないわね」 少なくとも十回、彼は繰り返した。 「服を着ろ!」

うまい書き出しだなぁ・・・…

彼女によれば、 夫のアルフレッドが盗みにはいった家で死体を見たというのだ。 アルフレッドは巻きぞえを怖れて行くえをくらましている。 アルフレッドをつれもどすためにも、 是非ともこの殺人事件をメグレに解決してほしいというのだ。

アルフレッドの入った家はわかっている。 そこに住んでいるのは歯科医のギヨーム・セールと、 彼の年老いた母だけである。 数日前に家を出たというギヨームの妻が、 おそらくその死体なのだろう。 容疑者、ギヨーム・セールはメグレとおなじ重量級だ。 「トルコ人みたいな」巨大な男、ギヨームは、 メグレのどんな脅しにもまったく動じない。 彼を守る「修道女のような老女」も、まったくみじろぎもしない。 通常の脅しがきかないので、メグレはいらいらする。

有罪を確信しているメグレは、 徹底的な心理戦をしかける。 これ見よがしに刑事が彼を監視する。 鑑識が、違法すれすれ(というより違法そのもの)で ガレージに駐車している彼の車を検査をする。 ところが、 ギヨームは、この心理戦にもびくともしない。 日々不機嫌になっていくメグレに、 部下たちは戦々恐々としている。

そんな中、 決定的な証拠 — それほど「決定的」だとも見えないのだが・・・(- -;) — をつかんだメグレははしゃぎまわる。 幸せな気分で景色を見る —

少しはなれたところに黒い柵と、 四角い芝生と、 修道院のように静かできちんと片づ いた家があった。 その家のどこかに、 修道院長みたいな老女とトルコ人みたいな男がいた。 この二人に メグレは仕返しをしてやるつもりだった。 人生は美しかった。

なんと・ま・てってい的に嫌らしい男なんだろう・・・。

そして、 部下たちの心配をよそに、 とうとうメグレは歯科医を逮捕する。 自白だけが頼りだ。 メグレは彼をいじめ抜く。 部下といれかわり立ち替わりで、 同じ質問を何度も何度も繰り返し、 彼が落ちるのを待つ。 しかし、トルコ人のような男は、ちっとも落ちる様子がみえない。

修道女のような老女、 ギヨームの母親は廊下で息子が解放されるのをじっと待っている。

メグレはとつぜん、その老女にくってかかる。

彼は、 たとえ高齢ではあっても、 彼女に向かって手を上げまいと努力しなければならなかった。 自分では無意識の笑いが老婦人の薄い唇の上に描かれたからだった。 「いや、嘘だ!」 と彼はどやしつけた。

なんて奴だ!

メグレの怒りは老婦人の上に降り注ぐ。 ・・・

彼女はおびえていた。 助けを求めるように口が開いた。

そうして・・・