2023-05-11 『裏切りの塔 G・K・チェスタトン作品集』を読み終わった ---未読の本だった。すごかった。「高慢の樹」はさいこう!

食事、コンピューター、インドネシアについてのひとり言。 ときどき人類学なども。

[2023-05-11] 『裏切りの塔 G・K・チェスタトン作品集』を読み終わった —未読の本だった。すごかった。「高慢の樹」はさいこう!

市立図書館の電子図書館で借りていた 『裏切りの塔 G・K・チェスタトン作品集』 (チェスタトン 2021) を読み終わった。 チェスタートンの小説で未読のがあったのが (もしかしたら読んでいて忘れていたのかもしれないが) うれしい。 とくに最初の「高慢の樹」はすごかった。 イタリアに住んでいるアメリカ人、シプリアン・ペインターが狂言回しだ。 大地主ヴェインの家に招かれた彼は、 彼がこの地でみつけた詩人、トレハーンを同伴する。 待っていたのはヴェインとその娘、バーバラの他に、 アッシュ弁護士とブラウン博士という面々だった。 ヴェインは、 彼の先祖が植えたという「孔雀の木」に関する当地の 噂話を語る。 この地の人々はこの木を忌み嫌っている。 村の人たちは、村に起こる不幸をことごとくのこ木のせいにする。 ペインターは、 その木の前半生を語る奇譚を披露する。

傲慢な詩人トレハーンとその他の男たちの間の 口にはだされない不和、 その詩人に魅きつけられている様子のバーバラ・・・。 登場人物もほどよく配置され、物語はすすむ。 さて、 再び同じ面子であつまったとき、 大地主、ヴェインが、 孔雀の木がなんでもない、ただの木であることを 証明するために木の上で一晩すごすという。 ところが、 ヴェインが行方不明になってしまうのだ。

残りのページで、 高慢の木による「殺人事件」の真相があばかれてゆく。 たまたま『19世紀イタリア怪奇幻想短篇集』 (橋本 2021)を読んでいたので、 チェスタートンにまんまとひっかかってしまった。

あ・・・おもしろかった!

それに比べると最後の「裏切りの塔」は、 むだに登場人物が多くて、 なにが問題になっているのかよくわからなかった。 もう一度読んで、やっと「奇抜な殺人方法」の解明が問題になっていたことが わかった。 登場人物、多過ぎ!