2023-09-17 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(ウィアー)、途中で本を置けなくなってしまう! ---いままで読んだSFのうちのベスト中のベストだ!

食事、コンピューター、インドネシアについてのひとり言。 ときどき人類学なども。

[2023-09-17] 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(ウィアー)、途中で本を置けなくなってしまう! —いままで読んだSFのうちのベスト中のベストだ!

2014年に入院したとき、 『火星の人 (ハヤカワ文庫SF)』 (ウィアー 2014) を読んだ。 たいへんに感動した。 数年後に同じ著者、ウィアーの第2作、 『アルテミス(上)』 (アンディ・ウィアー 2018) (および『下』)を読んだ — ちょっとがっかりした。 つまらない訳ではない。 饒舌口語体は一人称主人公が女の子でもいっそう磨きが かっていた。 ただ・・・。

そして第3作、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』! これはすばらしい! [–なお、「ヘイル・メアリー」はアメリカンフットボールで、 タイムアップぎりぎりでいちかばちかで投げる盲滅法のパスのことだという。–]

物語は主人公の目覚めからはじまる。 ある意味、 Triffid (『トリフィドの日』)の不気味な 冒頭と似ている — 『トリフィドの日』の主人公は目をさますと、 何も見えない。 どうやら病院のようではあるが、まわりに誰もいない。 いったい何が起きたのかを 主人公が(文字通り)手探りで発見していく過程は とてもスリリングだ。

さて、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』だ。 主人公が目をさますと、 彼のまわりには誰もおらず、 そして記憶がないという状況なのだ。 せまい部屋の中は不思議な状況だ。 環境から得られる限られたデータからいろんなことを科学的に推論すると同時に、 記憶がすこしづつもどってくる。

物語の背景を全部書いてしまいたいのだが、 それを発見してゆく過程 (それを主人公が発見してゆくのを、ぼくらが見てゆく過程) を楽しむのが、物語の前半部の醍醐味なので、 それについてはここに書くわけにはいかない。 最も重要は背景を一つだけバラしてしまおう — ある大事件だ。 それは・・・言おうかな・・・言っちゃっていいのかな・・・ やっぱりやめよう・・・でも言いたい・・・

それは、 — やっぱり言ってしまお! — なんと・ま、太陽が病原菌に感染してしまった!という事件なのだ。 ここで確認しておきたい・・・ この小説は『ドラえもん』みたいなんじゃなくって、 ハードSFだ。

さて、主人公がある程度まわりの状況を、 そして 自分が何をしなくてはいけないかをそれなりに理解した時点で、 もう一つの大事件が起こる。 あ・言ってしまいたい! ・・・「でもそれを言っちゃぁおしまいだよ」・・・。 あ・言いたい、言いたい。

この第2の大事件のあと、 主人公は、さまざまな謎を(観察と実験と推理で)解き、 さまざまな難局をのりきる。 この乗り切りかたがまた素晴しいのだ・・・ あ・言いたい!言いたい!

「今迄読んできたSFで一番面白い!」と自信をもって言える。

推理小説としてもベスト3にはいると思う。 [–最近の「推理小説」には推理がないのが多い–]

ウィアーの次作がよみたい!

ぼくも小説が書きたい!