2024-07-12 『太陽から三番目』を読んでいる ---「恋人クン」、とてもとても きもちわるかった・・・

食事、コンピューター、インドネシアについてのひとり言。 ときどき人類学なども。

[2024-07-12] 『太陽から三番目』を読んでいる —「恋人クン」、とてもとても きもちわるかった・・・

リチャード・マシスンの 『太陽から三番目』 (マシスン 2021) を市立図書館(電子図書館)から借りた。 初期SFの頃の作家の短編集だ。

第1作は「モンスター誕生」 — いい意味でも悪い意味でもSF初期の作品だ。 筒井康隆風。こわかった。 「魔女の戦争」もよく似たアイデアだ。

「白絹のドレス」は、 「モンスター誕生」と「魔女の戦争」を足して二で割ったような作品。 怖い! 「太陽から三番目」は初期SF風にありがちの ワンアイデアストーリー — つまらない。 「ゴルゴタへの旅」はつまらない。 キリストもけっきょく新興宗教の山師、というはなしの方が よっぽでおもしろかったのだが。

「旅芝居の火星人」、うん。 不気味だ。 他のSFとはちと違っていると思う。

「異星の恋人クン」、 怖かった。ほんとうに怖かった。いちばん怖かった。 スティーブン・キングみたかった。

「我が家は宇宙船」、 途中で映画俳優への言及があるのがおもしろかった。 「ピーター・ローレ (Peter Lorre)のように不気味な」 管理人がでてくる。 調べてみた・・・「あ!あいつだ」。 ぼくがとても好きな役者だ。 『カサブランカ』にも、 『マルタの鷹』にもでてくる。 あの自信なさそうな男だ。 彼は、「不気味」とは全然違う雰囲気をかもしだしている。 ピーター・ローレのイメージは、むしろ、やはりぼくの大好きな俳優、 ジョン・カザーレと重なる。 『ゴッドファーザー』のアルパチーノの頼りないほうのお兄ちゃん、 『狼たちの午後』[–原題 Dog Day Afternoon の方がぴったり–] にでてくる アルパチーノ率いる銀行強盗団の中の足手纏いの男だ。 とくに『狼たちの午後』は泣いちゃう。

ストーリーはワンアイデアストーリーだ。 それもあまり面白くないアイデアだと思う。 [–SF初期のワンアイデアストーリーは、当時は、おもしろかったのだろうと思う–]

とは言え、総じて、とても楽しめるSF短編集だった。 ぼくは最近のSF(「ハードSF」は除く)はあまり楽しめない。 ぼくが好きなのは初期、黄金期あたりだ。