食事、コンピューター、インドネシアについてのひとり言。 ときどき人類学なども。
[2026-09-20] 昔、ギブアップした本、『ロード・ジム』を読み終わった —やっぱりコンラッドって素晴しい!
昔、 コンラッドをむさぼり読んでいた頃、 途中で挫折してしまった本、Lord Jim、を日本語 (『ロード・ジム(上・下)』 (コンラッド 2024)) で再挑戦した。
挫折したのも納得した — 前半分(邦訳の(『上』))は話がまったく進展しないのだ。 前半部のほとんどがジムの裁判の期間中の話だ。 それも裁判の途中で語り手マーロウ (『闇の奥』の語り手だ)[–『青春』でもマーロウが語り手となっている–] とジムの間の対話(ほとんどがジムの独白のような会話)で 占められている。 物語がはじまって、 すぐにどんな事件でジムがどのような罪に問われているのかは、 見当がつくのだが、 それをはっきり言わない。 とくにジムがどのように自分を弁護しているのかが、 とても分かりにくい — 彼は何度もマーロウに「分かるでしょう?」と迫る。
隔靴掻痒の状況のままページだけが進む。
裁判の後(あと)、 その罪を背負って、アジアの港を転々とするジムの様子が描かれる。
ぼくが挫折したのは、この辺だった。
マーロウが旧知のシュタイナーという老人を通して、 セレベス島(「スラウェシ島」)の奥地に、 ジムの働き場所を世話するあたりから、 物語は急転する。
語り方が入り組んでいるので、 いらいらするのだが[–たぶん、それが「文学的」な所以なのだろうが–]、 筋だけを追えば、 血湧き、肉踊る、冒険物語である。
場所(セレベスの奥地)といい、 設定(小さな場所に、いくつもの政治権力がうずまいている)といい、 Rescue (わたしのコンラッド作品で一番好きな作品)を思い出させる。 Jim の「親友」ブギス人の若者は、 Rescue にでてくるバリからやってきた王子を思いださせる・・・。
気になるので、AI (ChatGPT) に聞いてみた — 「Almayer’s Folly、Rescue、Lord Jim は世界を共有している?」と。
共有しているそうだ。
Almayer’s Folly、An Outcast of the Island(未読)、そして Rescue は トム・リンガード三部作と言われているそうだ。 Lord Jim は「三部作」のつづきという程には明確につながってはいないが、 たとえば “Almayer” の名前が会話のなかに出てきており、 はっきりと世界の共有がコンラッドによって意識されているという。
閑話休題・・・
ディック・フランシスの描く悪漢もすごいが、
Lord Jim に出てくる悪漢は圧巻である (pun intended (^_-))。
最初に登場するのは、800名の船客を捨てた挙げく、裁判の途中で逃げ出す船長、
およびその仲間たちだ。
そして、物語が急転直下する最後の最後に登場する海賊ブラウン、
そして、セレベス時代のジムに最初から最後までまとわりつく卑怯者のコルネリウス。
どれもこれも、嘔吐のでそうな人間たちばかりだ。