Markdown で文章を書く

Satoshi Nakagawa

2022-04-20

1 はじめに

マークダウン記法は、 いわば、 自然発生的にできあがった記法です。 電子メール時代の初期に、 いろんな人が、 テキストだけをつかって、 強調やら下線をつけようとしたやり方がありました。

*強調* とか _下線_ とかです。

マークダウンはそのやり方の子孫だと言えます。

というわけで、 マークダウンにはいろんな流派(flavours)があるのですが、 ここでは github および pandoc の使う流派のものを紹介します。

2 だいじなこと

これからさまざまな「記しづけ」(markup)の方法を紹介します。 これらの 記し はすべて半角です。 もっとも間違いやすいのは「スペース」です。 記しとしての「スペース」はいつも半角です。 全角の「スペース」を使わないようにしてください。

3 フロントマター

タイトルと著者名は、 「フロントマター」の部分に書きます。 フォントマターは、 ファイルの最初(1行目)の --- だけの行と、 数行あとの---だけの行によって囲まれる部分です。

タイトルは、 フロントマターの中で、 title:(最後は半角スペースです)という印の後に書きます。 そして著者名は、 author:の後に書きます。 具体的にはつぎのようになります。

---
title: 人類学と自然主義
author: 中川敏
---

なお、 最初の---の前に空行などを置かないでください。

4 段落

段落は空行で区切られたかたまりです。 つぎの具体例をみてください:

つぎの空行までが一つの段落となります。
空行がない限り、
段落が続きます。
改行は無視されて、
あとで調整されますので、
自由自在に改行してください。


空行があるので、
ここから新しい段落となります。



空行は連続していくつ続けても構いません。
連続した空行は、
ひとつ空行と数えられます。

5 構造

章、節、小節などの論文の構造をしるしづける方法ついてです。 #をそのマークとします。 第一レヴェルは#、 第2レヴェルが##そして第3レヴェルが###です。

本書においてどのレヴェルまでにするかはおいおい決めていきます。 それまでは自由に使ってください。

6 イタリック

人類学で頻出する文字の修飾が(現地語であると示す)イタリックでしょう。 アステリック(星じるし)ふたつで囲んでください。 以下のとおりです。

**gumsa**and**gumlaoI**

6.1 その他の飾り文字

三つつかえば太字となります。 つぎのようにつかいます。

ThisISveryimportant

7 脚注

脚注をいれたい場所に、 左ブラケット([)、 キャレット(^)、 適当な名前(仮にfooとします)、 右ブラケット(])でしるしづけます。 そうして、 段落のおわった後に、 空行をはさんで、 [^foo]:(最後は半角のスペースです)とし、 そこに脚注を書きます。

具体的にはつぎのようになります。

わたしの調査地[^foo]であるエンデの町は、
人口3万人ほどの小さな町である。
フローレス島にめずらしくイスラムの人口の多い場所である。


[^foo]:調査は1979年から数度おこなわれた。
脚注は空行をはさまなれば、
複数行にわたって書くことが可能です。

8 文献

引用する文献毎に名前(半角のみを使う)を決めてください。 たとえば、 わたしの『交換の民族誌』にnakagawa-dogと名前をつけます。 引用する際は[@nakagawa-dog]として本文の中に入れてください。 文献表はpandocが自動で作成します。

よりくわしくは biblio を見よ。

9 ブロック引用

「ブロッククォート」は、 インデントのある引用です。 引用のはじめ(そして段落のはじめでもある)に >(最後は半角のスペース)をつけるだけです。 具体例をあげます。

中川は1992年の本[@nakagawa-dog]で次のように言っている。


> インドネシアのフローレス島のエンデの人々の間では、
> 母方交差イトコ婚が行なわれており、
> その規則が人々の生活の基盤をなすルールとなっている。
> [@nakgawa-dog:12]