2024-06-12 [News] (フローレス島西部の)ラブアンバジョの土地マフィアのリーダーは誰か? ---Floresa 紙の取材力はすごい。Floresa の調査に比べれば 人類学者なんて・・・と思ってしまう

食事、コンピューター、インドネシアについてのひとり言。 ときどき人類学なども。

[2024-06-12] [Floresa]
原題は:Siapa Biang Kerok Mafia Tanah di Labuan Bajo? (翻訳は基本 DeepL、以下同様)。 DeepL は Biang を「犯人」と訳していたが、 たぶんリーダーの方が適切だろう。

まとめ的な文章(前文、リード)は: Mafia tanah melibatkan banyak pihak, mulai dari tua adat abal-abal, oknum di BPN, notaris hingga aparat (翻訳)土地マフィアには、 偽の伝統的長老、 BPNの悪徳な人々、 公証人から当局に至るまで、 多くの関係者が関わっている。

この記事で扱われているラブアンバジョ (Labuanbajo) とは フローレス島の西部の町である。 ここ数年、観光地としておおいに売り出した町だ。 [–コモド・ドラゴンのいる島から最も近い町である–]

フローレス島はオランダ植民地政府から 「もうからない島 (non-profitable island)」と呼ばれた島である。 現在でも島は開発などからは取り残されている。 じっさい、島のあちこちに 「取り残された村」(政府の公式カテゴリー) (desa tertinggal) が見出される。 そのおかげで、 「近代」からはおめこぼしをもらうこととなってきた。 村人たちは、 外からの圧倒的な影響におびえることなく、 変化に対して自分らなりの対応ができる余地があるのだ。 ぼくのフィールドワークの村も、 変化はしているが、 村人たちの対応はとても巧妙である。

ところが、ここ10年ほど(もしかしたら 20年くらいかもしれない)、 ラブアンバジョ (Labuanbajo) は、 観光地としてスポットライトを浴びることになってしまったのだ。 とりわけ 近年のジョコヴィ(現大統領)の後押しが大きな力をもった — たとえば ASEAN の会議が行なれたのがラブアンバジョなのだ。

ラブアンバジョのまわりの土地はいったいどうなったのだろうか・・・ と心配だったのだが、 この記事を読んで、やはり恐れたとおりだったと分かった。

ほんとうに素晴しい記事である — 「土地マフィアたち」の犯罪の細かい内容がわかる。 そこにからむ軍や警察、法の関係者、 さらには慣習法共同体の内部からの裏切り者・・・。

エンデ(フローレス島中部のぼくの調査地)も、 ラブアンバジョの出来事を 対岸の火事としてのんびり見ているわけにもいかないだろう。 いつなんどき火の粉が飛んでくるかわからない。 ぼくは村の人たちの当意即妙の知恵は信頼しているが、 それもまた桁ちがいの金と権力の前には蟷螂の斧かもしれない。