2024-03-12 [News] ある慣習村が西マンガライの地方政府に土地を寄付する ---この話、しばらく追ってみたい

食事、コンピューター、インドネシアについてのひとり言。 ときどき人類学なども。

[2024-03-12] [Antara]
原題は: Masyarakat adat berikan tanah tujuh hektare ke Pemda Manggarai Barat

「慣習村」は “masyarakat adat” (直訳なら「慣習法の社会」)の翻訳だ。 この頃よく見掛ける表現である。 この言い方を集めて、 論文にとりあげるのも可能だろうが、 人類学的にはよくあるテーマ、「伝統の捏造」あたりに落ち着くだろう — 面白みはない。 ただし、 じっさいにフィールドワークするともっと違う点が見えてくるかもしれないが、

「西マンガライ」はフローレス島の西端の県だ。 このブログで何度も取り上げた (ツーリズムで有名な)ラブアンバジョのある所だ。

さて、記事の内容は: ある慣習村、ワエモト (Wae Moto) が氏族の土地(”tanah ulayat”) [–「個人所有」ではなく、伝統的に保守されている土地–]7 ヘクタールを 県政府に寄付したという記事だ。 この土地はツーリズムに寄与する3つの特徴があるので、 それをうまく利用してくれ、というのが県政府へのメッセージだという。 3つというのは: (1) なんとかいう洞窟、 (2) 儀礼をする場所(チョンパン)、 そして (3) きれいな泉があるというのだ。

先日の記事では、 オーバーツーリズムに巻き込まれて大企業に土地をとられた (すくなくとも原告によれば)人たちもいれば、 「おれたちもツーリズムにいれてくれ」というこんな人たちもいるんだ。 郡の名前はンベリリン (MBeliling) という。 たぶん、ラブアンバジョから離れた辺鄙なところなのだと思う。