2024-09-25 [News] ティモール島の慣習共同体は環境省がムティス山周辺の地位を自然保護区から国立公園に変化させたことを危惧している ---彼らはムティスが第2のラブアンバジョとなることを怖れているのだろう

食事、コンピューター、インドネシアについてのひとり言。 ときどき人類学なども。

[2024-09-25] [Floresa]
原題は: Warga Adat di Timor Kecewa dengan KLHK yang Ubah Cagar Alam Mutis Timau Jadi Taman Nasional — “Keputusan Sepihak yang Mengagetkan Kami” 最後の引用の部分は 「一方的な決定にわたしたちは驚いている」だ。

なお、KLHK は Kementerian Lingkungan Hidup Dan Kehutanan 「生活環境および森林省」。 たぶんかつての「森林省」 Departement Kehutanan だろう。 「環境省」と訳しておく。

Gemini による要約は以下の通り。 [–じつに楽チンだ–]

この記事は、 インドネシアのティモール島にある ムティス・ティマウ自然保護区 (Cagar Alam) の地位を、 環境省が国立公園 (Taman Nasional) に引き下げたことに対する 住民の抗議について報じている。

住民は、 この決定は一方的で、 環境や文化遺産を破壊する可能性があると懸念している。 環境省は、 国立公園はティモールの肺であり、 生物多様性を保護するための重要な手段であると主張している。 しかし、 住民は、 この決定は彼らの生活に悪影響を及ぼす可能性があると主張している。 政府は、 住民の意見を無視して、 国立公園の指定を強行した。 住民は、 政府の決定に抗議し、 国立公園の指定を撤回するよう求めている。

以上要約おわり。

わたしのフィールドであるエンデはフローレス島にある。 そしてフローレス島は、 ティモール島、スンバ島とあわせてNTT州を構成する。 さて、 フローレス島にはコモドドラゴンで有名なコモド国立公園がある。 コモド諸島への観光のための玄関口 (コモド諸島自身にはホテルなどを作ることは禁止されている) がフローレス島の西端、ラブアンバジョである。 ジョコヴィ大統領のきもいりで、 ラブアンバジョが(乱)開発された。 ラブアンバジョの悪夢のような 現況はすでにこのブログでも伝えたところである。

ティモールのムティス周辺の 「慣習共同体」 (warga adat se tempat) が 危惧しているのもそのような状況であろう。 彼らはいう — 「この地域には聖なる場所があちこちにある。 政府はわたしたちに何も言わずに、その場所を盗んだのだ」と。

わたしの調査地の近くでも、 山奥は禁ぜられた場所である。 もしそこが「国立公園」になり、 外来の資本によって「開発」されたらどうなるだろうか。 ホテルが建てられ、 短パン・ミニスカートの観光客がどかどかとおしかけ ・・・という状況もあるかもしれない。 [–フローレス島のもう1つの有名な国立公園、 ケリムトゥはもっとうまく運営されているようだが–]

もしそんなことが起きたら、 数年もたてば、 山に住んでいた「(もと)原住民」たちは、 町へルンペン・プロレタリアートとして 流れていくこととなるだろう。