食事、コンピューター、インドネシアについてのひとり言。 ときどき人類学なども。
[2015-08-13] 待ち伏せ
夜、停電になった。真っ暗だ。
なんだか村が騒がしい。 どうやら多くの人が外に出ているようだ。 夜中にこんなに人が外に出るなんて、 何があったのだろうか・・・。
兄弟喧嘩があったらしい。 弟が、 畑から帰ってくる兄を暗闇の中で待ち伏せして、 木の棒でなぐった、という話だ。
逃げた弟を追って、 [–急所をはずれたので、 兄の怪我はたいしたことはなかった–] 村じゅうの人間が山狩りをしているという。
原因は「財産争い」である。 弟が自分の取りぶんの少ないのを不満にもっていた、 というのである。 ここで問題になっている「財産」は、 近年導入された換金作物(カカオ、コーヒー、その他) である。
昔、財産(象牙や動物)の争いがなかった わけではない。 しかし、どうも近年[–1990年代以降かな–] 諍いが、 それも暴力的な諍い [–今回のはとりわけて、暴力的だ–]が 頻繁に起きているようだ。 何故だろう。
いいかげんな説明を思い付いた。
財産を土地と象牙と換金作物の3つの カテゴリーに分けて考えよう。
土地は 儀礼共同体による共同所有である。 争いは共同体を巻き込んだものになり、 それ故めったに起きない。
象牙(に代表される婚資の材料、動物など)は、 個人所有のように見えるが、 純粋にそうであるわけではない。 象牙の所有には「家」の考えが関与している。 婚資を受け取るのが花嫁の父とは限らず、 彼の所属している「家」の代表者であることもあるのだ。 この点は、きのうのリヴァの話でしばしば強調された。
換金作物は、すぐれて個人所有である。 「家」はまったく関与しない。
というわけで、 近年(換金作物が導入されて以降) 「兄弟による財産争い」が頻発するのだ。
・・・というわけだ。
・・・ほんとかなぁ。