2017-02-18 「きつねとたぬきの人類学的研究」

食事、コンピューター、インドネシアについてのひとり言。 ときどき人類学なども。

[2017-02-18] 「きつねとたぬきの人類学的研究」

もと学生さんたちの私設研究会(略称 NUS)@京都 に お客さんとして参加した。 きょうが二回目だ。 午後いっぱいの楽しい研究会が終わり、 夕方からは楽しい飲み会だった。

飲みながら 関西人たちを相手に「きつね」と「たぬき」の 使い方の調査をしてみた。

ぼくの知識はつぎの通りだ。 関東では「きつねそば」は油揚ののった 蕎麦、 「きつねうどん」はそのうどんバージョン。 そして「たぬきそば」は天かすののった蕎麦で、 「たぬきうどん」はそのうどんバージョンだ。 30年前に関西に移動するときに聞いた情報では、 関西では「きつね」は(関東で言うところの) 「きつねうどん」、 そして「たぬき」は(関東で言うところの) 「きつねそば」だという。 ただし、京都で「たぬき」は「餡掛け」(うどん)を 指すというのだ。

さて、じっさいに調査をしてみると・・・

「京都で『たぬき』は・・・」という情報を 知っている人はだれもいなかった。 「たぬき」が(関東で言うところの)「きつねそば」を 指す、という情報も、それほどには、 共有されていなかった。 [–蕎麦をめったに食べないこともあろう–]

新発見は、「お揚げさん」が甘いか甘くないかという 弁別特性 (distinctive feature) が有意 (relevant) だということだ。 「きつね」はお揚げさんが甘い(かつ切ってない)。 お揚げさんが甘くなくって(かつ切ってある)うどんは 「きざみうどん」と言うのだそうだ。 [–なお、きざんだお揚げさんを卵とじにして ご飯にかけると「コノハ丼」と呼ぶという–]

(関東の)「たぬきうどん」(天かすトッピング)に相当するのは 「ハイカラうどん」というそうである。 [–なお、天かす取りほうだいになっているお店もあるので、 そんなお店では素うどんをたのめば実質(関東)たぬき うどんとなる、という。–]

さて仮説である・・・30年前の関西では 「きつね」と「たぬき」は、 (ぼくの得た)情報通りうどんと蕎麦を指していた。 そこにテレビを通じて 「赤いきつね」と「緑のたぬき」が 浸透し、 それによってオリジナルの状況に混乱が生じた。 その後30年の時間を経て現在の状況に落ち着いた

・・・かしらん・・・。

進化論的ミーム研究の題材になりそうな

なりそうもないような・・・ 。